風牌ろまん | 鳥孔雀のトキ☆メキ~おまいらと漏れの第三次世界大戦的変態革命~

風牌ろまん

このブログの更新を気長に待ち望んでくれていた人達、本当に有難うございます、

そして申し訳ありませんでした。

何が起ころうとも毎日欠かさずブログをチェックしてくれていた3人の人達、

一体何を考えてるんですか?

将来ろくな大人にならないであろうこと確定的です。


さて前置きはともかく、さっさと本題に移りましょう。


およそ30時間前、腐りきった愚国の冷笑的側面に散々嫌気が指した2匹の侍が国を出る覚悟を決めた。

俺と、ハマの時計仕掛けのオレンジ、通称sadaだ。sadaは飲みかけのペプシをゴミ箱にぶち込み、俺にこう言った。

「一気に逝きましょう。休息は無駄に等しい。」

鋭い眼光と共にsadaは夜空を見上げる。星一つないその空間は、虚無的な奴の左脳を刺激しているようだ。

俺はマルボロを口にくわえ、天を仰いだ。

「全く冷や冷やさせやがるぜ」


(実際→) sada「準備できました?」

         俺「あー、もう済んだー。ちょっと車暖めとくわ。」

       sada「禿萌えです」

         俺「萌えます」


街は一面雪景色だ。冷たい風がその勢いを増している。

あまりの路面状況の悪さに、俺は一瞬アクセルを強踏するのをためらった。感覚的ではなく、亡霊的な何かが、俺をそうさせたのだ。額に一滴の汗が滴り落ちる。

そんな俺を尻目にsadaはこう言った。

「真っ白な雪?知ったこっちゃ無いっすよ。こっちは真っ白な灰になるまでブッ放す覚悟は出来てるんだ。」

まったくsadaって男は敵に回すと恐ろしいが、見方にすると頼もしい奴だ。俺の心臓の鼓動が高鳴る。

脳内麻薬と精神が共鳴しあうのを、俺は感じていた。

「ディストーショナル・アディクトか・・。マジでビンビンさせやがるぜ!」

俺らの前に、最早敵は、いなかった。


(実際→)俺「やっべー路面凍ってるじゃねえかよ、鉄板でこえーよ」

    sada「安全運転でお願いします」

真夜中のフリーウェイは、暗黒の闇が広がっていた。その絶対的な黒は、次第に俺らの下半身から上を、侵食していった。弱気を見せたら、一瞬でやられるであろうその状況が、感覚を刺激する。

喰うか喰われるか─

俺は己の弱気な感情を振り払うかの如く、CDのボリュームを上げた。


典型的な8ビートのリズムが、俺は好きだ。シンプルな構造はそのまま俺の五感を単純化させてくれるからだ。俺がsadaにこう言うと、奴は不敵な笑みを浮かべてこう言った。

「不協和音に対処することの間違いじゃないですか。」

相変わらず鋭いところをついてきやがる。全く油断も隙もありゃしねえ奴だぜ。

俺は含み笑いを浮かべながらこう言った。

「フッ..全てお見通しって奴かい?若いねえ。」


(実際→) sada「おっとミッシェルじゃないですか、萌えますねー」

         俺「道中ノらないとやってられないっすよ。暗いしコエーし」

     sada・俺「あいうぉんざーもたーさいこー」


しばらく後、俺は徐に車を道路の脇に止めた。俺は胸ポケットから煙草を取り出すと、ゆっくりと灰にヤニを充満させ、大きく息を吐いた。ヤニの匂いと共に、微弱な緊張感が周りに広がる。

「休息は無駄だったはずでは?」sadaが俺に言う。

フン、と鼻を鳴らしてから、俺はこう言った

「休息でも、それから安息でもない。分岐路を前にした、ただの深呼吸さ」


それから、この大国の象徴でもある、長い長い一本道の脇道で、俺らは小便を引っ掛けた。長い、長い小便だった。俺らのそれまでの過程を象徴しているかのような小便だった。


そしてまた車を走らせた。最早俺に闇に対する恐怖心は無かった。sadaは俺を見て、ニヤリと笑った。俺も釣られて笑ってしまう。

空港はあと目と鼻の先に、その殺伐とした空気を曝け出してるはずだぜ。


(実際→)俺「ションベン、漏れる!漏れる!我慢できねえ!」

    sada「マジで?脇に止めてしちゃえば?」

      俺「最近早いんだよ、マジで」

    sada「あー、小便小便言うから、なんか俺もしたくなってきたよ」

     キキーーーーッ!ガコン!(車を止める)

      俺「プッハーーーッ!スッキリ!!」

    sada「長い小便すね」

      俺「禿萌えです」

      (実際、アメリカのハイウェイで小便を引っ掛けていると、自分がまるで大物になったかのような錯覚が芽生えてしまう悲しい俺)

そして空港に着いた。外の凍てつくような気候とは対照的に、人工的で不自然な生暖かさが俺たちを包む。

そう、その暖かさが全て幻想であるかのように・・。

sadaは徐にナイフを取り出した。奴の眼光が怪しい光を放っている。そして、その焦点が合っていない。

鋭利な刃物の表面に、俺たちの間の空間が微かに映り、そして広がる。

俺は奴を制止すると、ゆっくりと言い聞かせた。

「武器に頼るのはやめておけ、そいつは手前の右脳をも混乱させちまう」

sadaはゆっくりと深呼吸すると、まるで自分に言い聞かせるかのようにこう言った。

「フン・・、そんなの百も承知ですよ」


(実際→)俺「外、サミーーー!中、あったけーーーー!」

    sada「萌えです」


チェックインを済ませた後、俺たちは簡単な食事を取ることに決めた。パン、ポテト、エッグ、そしてハム・・典型的な愚国の豚の餌だ。

「最後の晩餐がジャンク・フードとはな・・」

俺がこの国の未来を憂いていると、ハマの時計仕掛けのオレンジがが突然キレた。

卓上の皿をぶちまける!

ガッシャーーン!

「女将を呼べッ!!!」「だから俺は嫌だったんだ!人を呼んでおいてこんなものを食わせるとはッ!!」


鬼のような形相のsadaを必死でなだめ、俺はロビーに急いだ。このまま放っておくと、本当にコイツは殺ってしまう、そう判断したためだ。

それに、俺たちの別れの時間が迫っていた。


男の別れに無駄な時間は必要ない。俺は奴にそっと告げた。

「逃げ切れる保障は無いぜ」

「そんなの百も承知さ・・。・・・言っただろう、ブッ放す覚悟は出来てるってな」


俺は笑った。sadaもつられて笑う。


笑い声があたりに響き渡る。

そして俺たちは血染めの拳で最後の別れを交わした。


(実際→)俺「んじゃ、また」

    sada「おいっす」


滑走路も、白い雪に覆われていた。外は分厚い雲に完全に支配されちまってる。まるで俺の未来を暗示しているかのようだ。

だが、不思議と恐れは無かった。もう、俺には全てを受け入れる覚悟が出来ていたのだ。

「為すがままにってか、ナンセンス極まりないぜ」

そして俺は人工都市ピッツバーグを後にした。



~つづく~